印刷を楽しむウェブマガジン「インタメ!」Produced by 田中昭文堂印刷

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  • 【キーカラーの選び方】デザインを豊かにする色とその文化的背景

    配色は、私たちの感情や思考に、とても大きな影響を与える力があるといわれています。

    それぞれの色には、世界中で共通する心理的な側面もありますが、文化や文脈によって多様な意味合いをもつこともあります。これらの色の特性を理解し、上手に組みあわせることで、見る人に特定のイメージを与えたり、感情を動かしたりすることができます。

    この記事では、色がもつ意味と与える印象について、そのポジティブな側面に焦点を当てつつ、日本と世界の視点を交えながらご紹介します。
    キーカラーの選定に迷われたときは、ぜひお役立てください。

    色がもつ意味とその印象

    【白】が物語る文化とデザイン

    白は一般的に、純粋さ、無垢、清潔さ、新たな始まりといったイメージと強く結びついています。日本では、伝統的な婚礼衣装に代表されるように、神聖な色として精神的な清らかさを象徴します。この日本の婚礼における白のイメージは、西洋文化における純粋さや平和の象徴とも共通しています。

    デザインにおいては、白を効果的に用いることで洗練された印象を与え、他の色や要素を引き立てることができます。特に日本では「余白の美学」という考え方があり、単なる空白ではない間(ま)を意識することで、コンテンツに奥行きや広がり、調和のとれた静かな美しさをもたらします。

    一方、中国や韓国をはじめとする多くのアジア諸国では、白は喪の色とされています。西洋文化においては、白衣などにみられるように、清潔さや医療のイメージと結びついています。

    日本では、婚礼衣装としての白は純粋さや新たな始まりを象徴する一方で、故人の装いとしての白は、魂が清らかな状態で旅立つことを願う意味合いをもつなど、同じ白でも文脈によって意味合いが異なります。

    【黒】力強さと文化的な深み

    黒は見る人に、力強さ、権威、優雅さ、洗練、格式といった印象を与えます。フォーマルな場やビジネスシーンで広く用いられ、プロフェッショナルな印象から信頼感へと繋がる色として重視されています。西洋文化においては、古くから力強さやエレガンスの象徴であり、近年では優雅さやモードなファッションを象徴する色としても再評価されています。

    無彩色である黒は、他の鮮やかな色を引き立てる効果をもちます。そのため、デザインやアートの分野において、モダンでシャープな印象を与える色として用いられています。日本の伝統工芸にみられる黒漆(くろうるし)は、深みのある光沢と独特の質感によって、日本の美意識を象徴する存在です。単なる色という以上に、日本の文化に深く根ざした美しさを体現しています。

    このように多岐にわたる特質をもつ黒ですが、西洋文化などにおいては喪や悲しみといったネガティブな連想を抱かせることもあります。日本ではかつて、喪の色は白でしたが、西洋文化の影響を受け、徐々に黒が主流となりました。

    【赤】情熱と生命力のエネルギー

    赤は、情熱、愛情、エネルギー、生命力といった強い感情と結びつく、非常に刺激的な色です。色彩心理学的にも、赤は感情や活動性を高める効果があるといわれています。

    日本では、国旗「日の丸」にもみられるように、古来より太陽の色とされ、生命力や活力を象徴する縁起の良い色として大切にされてきました。お祝いの席では、赤飯や紅白の組み合わせのように広く用いられています。中国文化においては、赤は幸運、喜び、繁栄を象徴する非常に重要な色で、お祭りや祝祭、贈り物などで用いられます。

    西洋文化においては、愛や情熱を象徴する色として認識されており、バレンタインデーのハートマークや赤いバラなどがその代表例です。また、食欲を増進させる効果があるともいわれ、飲食店のデザインにも活用されています。その他にも、信号の停止、消防車、警告表示など、危険や注意を喚起する場面で用いられるのは、赤が視覚的に強く注意を引きつける色であるためです。

    【ピンク】濃淡によって表情を変える癒しの象徴

    ピンクは、優しさ、穏やかさ、愛情、幸福感、癒やしといったポジティブな感情を象徴する色として広く知られています。色彩心理学的には、心地よさや安心感をもたらす効果があるといわれており、商業的な観点からも、空間やプロダクトに用いられるのは、このような効果を期待してのことと考えられます。

    明るさや彩度によりニュアンスが変化するピンクは、淡い色合いでは穏やかで優しい印象を与える一方、濃い色合いでは華やかさや愛情をより強く表現します。また、彩度を抑えたスモーキーなピンクは洗練された雰囲気を、鮮やかなマゼンタに近いピンクは大胆で個性的な印象を見る人に抱かせることがあります。

    歴史的には、ピンクは女性や子どもと関連づけられ、可愛らしさや優しさの象徴とされてきました。日本におけるこの連想は、西洋文化とも共通しています。しかし、現代社会においては、ジェンダーに対する認識の多様化により、そうした固定観念は徐々に薄れつつあります。世界的にみても、ファッションをはじめとする、さまざまな分野でピンクが積極的に用いられており、性別を超えて受け入れられる傾向にあるといえます。

    【茶】安心感と自然由来のぬくもり

    茶色は、大地や木といった自然を象徴する代表的なアースカラーです。その落ち着いた色合いは、色彩心理学的に安心感、安定、心の静けさをもたらすといわれ、揺るぎない自然の力を連想させることから堅実さ、信頼の象徴としても広く認識されています。スーツや革製品などビジネスシーンで用いられることもあり、伝統的な建物、工芸品など歴史や格式を重んじる場面で好まれる色の一つです。

    日本においては、この華美ではない落ち着いた風合いが、静寂の中に潜む美しさを見出す「侘び寂び」の精神と深く結びついています。茶道で使われる茶碗や古民家など、日本の伝統文化において茶色が重要な役割を果たしてきたといえます。

    加熱調理によって生まれる焼き色や、チョコレート、コーヒー、味噌、醤油など多くの食品に見られるように、茶色は温かく食欲をそそる色として、世界中で「美味しさ」を連想させる共通認識があります。

    また、木材、土、革といった自然素材との親和性の高さから、インテリアやファッションの分野でも幅広く活用されています。暖かく家庭的な空間を演出しやすい色ですが、使い方や組みあわせによってはネガティブな印象を与える場合があります。鮮やかな色を好む文化や国、文脈によっては、地味さや単調さを連想させる場合があることも理解しておく必要があるでしょう。

    【黄】希望と明るさの輝き

    太陽を描くとき、日本では伝統的な「日の丸」の影響から赤で表現されることが多いですが、世界的にみると、特に子どもたちの絵などでは黄色やオレンジが一般的です。大気の影響を受けた太陽光の色にもっとも近く、多くの文化において明るさ、暖かさ、希望、幸福、エネルギーなどのポジティブなイメージと強く結びついています。

    色彩心理学においても、黄色は気分を高揚させ、陽気さ、楽しさ、楽観性を促すとされています。また、強い注意喚起力をもつため、明るい印象を与えたり、注目を集めたい子ども向け商品や食品パッケージ、セール広告、Webサイトのボタンなどで効果的に用いられています。

    黄色は人が非常に明るく感じる色の一つであり、特に黒と組みあわせると遠くからでも際立ちます。この高い視認性から危険を知らせる警告色として踏切や道路標識、工事現場の安全表示、交通整理員のベストなど、安全確保が重要な場面において国際的に広く用いられています。

    一部の地域や文化では、裏切りや嫉妬といったネガティブな意味をもつこともありますが、多くの場合、太陽や光との根源的な結びつきから、暖かさやエネルギーといったポジティブな印象を与える色として、世界中で親しまれています。

    【紫】高貴さと神秘的な存在感

    古代において、鮮やかで耐久性のある紫の染料は極めて希少であり、その製造には多大なコストと労力が費やされました。この希少性から、古代ローマや日本の限られた高位の人々だけが着用を許される特別な色となり、権力、高貴さ、富、優雅さの象徴として広く知られるようになりました。

    日本および西洋文化において、紫は伝統的に格式高く特別な色とされ、高級感や特別感を演出するデザイン、インテリア、ファッションなどに用いられます。日常ではあまり見かけない独特の色合いから神秘的、精神的なイメージと結びつけられることが多く、感性を刺激し、インスピレーションや創造性を高める色ともいわれています。

    色彩心理学的に、紫は情熱的な「赤」と冷静な「青」という相反する性質の色が混ざり合ってできているため、複雑さ、神秘性、二面性をもつ色として解釈されることがあります。エネルギーと静けさ、情熱と知性といった両方の側面を感じさせる色といえるでしょう。

    こうした共通の認識がある一方で、一部の文化では、紫が悔恨、償い、喪などの意味合いで用いられることがあり、文脈によって意味が異なる点に留意が必要です。

    【緑】安らぎと成長のシンボル

    緑は自然界、特に植物や森林を象徴する色であり、色彩心理学では心身のバランスを整え、安心感、安定感、リラックス効果をもたらすとされます。若葉や新芽の色から、生命力、成長、新鮮さ、若々しさといったイメージも喚起します。

    日本の伝統色「千歳緑」は、常緑の松にちなみ長寿を表す縁起の良い色です。また、信号機の「進め」の色は国際条約で定められており、安全や進行、許可を示す色として世界的に認識されています。

    自然や健康を象徴することから、「エコ」「オーガニック」「安全」といったイメージと強く結びつき、安心感や新鮮さを伝えたいオーガニック製品やエコロジー関連のデザイン、リフレッシュ空間などで広く活用できます。

    文化圏によっては神聖な色とされるなど肯定的な意味合いが強い一方、一部地域では嫉妬や不名誉といったネガティブな意味をもつこともあります。

    【青】信頼と知性のカラー

    青は、広大な空や深い海を想起させ、平和、安定、調和といった穏やかで広大なイメージを抱かせます。色彩心理学においては、心を落ち着かせ、冷静さや集中力を高める効果があるともいわれています。

    誠実さ、信頼感、知性といった印象を与えるため、多くの企業、特に金融機関やIT企業、公的機関などが、信頼性や安定感を表現するコーポレートカラーとして採用しています。また、清潔感も感じさせることから、医療やテクノロジー分野でも広く用いられています。東洋文化の一部では、永遠性や精神性を象徴するともいわれ、日本では藍染のように深い精神性を感じさせる色として伝統的に用いられてきました。

    青は世界中で好まれる色の一つといえますが、英語圏において「Feeling blue(憂鬱になる)」という表現があるように、文化や特定の文脈によってはネガティブな意味合いをもつこともあります。

    まとめ

    この記事では、それぞれの色がもつ豊かな意味とポジティブな特性、そして私たちの感情や思考に与える影響について、日本と世界の視点を交えながら解説しました。ただし、ここに掲載した色のイメージや意味合いも普遍的なものではなく、文化や歴史的背景によって異なる捉え方をされる場合もあるということは、念頭に置いておくとよいでしょう。

    色のもつ心理的な傾向や文化による背景を理解し、そのポジティブな力を効果的に用いることで、デザインやコミュニケーションにおいて、伝えたいメッセージをより豊かに、そして深く届けることができます。グローバルな視点で色を用いる際には、相手の文化への敬意を払い、意図した印象が伝わるよう配慮することが大切といえます。

    色が見る人に与える影響について、もし興味をもっていただけたら、ぜひご自身でも調べてみてはいかがでしょうか。