校正は誰の仕事か? 内校体制の真実
印刷物の「校正(内容や表記に誤りがないか確認する工程)」は、誰の仕事なのでしょうか。
一般的には、内容の正確性や表現の妥当性については発注者側の責任とされ、印刷会社はそれをもとに正しく組版(文字や画像をレイアウトする作業)し、印刷物として仕上げる役割を担います。
この考え方は間違いではありません。
しかし実際の制作現場では、それだけでは品質を担保できない場面があるのも事実です。

書籍制作の現場で培われた「校正文化」
当社では古くから書籍制作を多く手がけてきました。
書籍は扱う文字量が非常に多く、ページ構成や段組を含めた設計を、工期に沿って積み上げていく“オーダーメイドの制作物”です。
そのため、
- 文章内容は執筆側
- 組版・制作は印刷会社側
という責任の線引きが曖昧になりやすく、結果として見落としが発生しやすい構造にあります。
しかし誤植は、そのまま刷り直しにつながります。
だからこそ当社では、早い段階から校正の技能を重視してきました。
現在も、習熟した内校正の専任者を工程に組み込み、一定の品質を維持しています。
また近年では、書籍制作のご相談とあわせて、内校正のみのご依頼をいただくケースもあり、「そこまで確認するのか」「丁寧ですね」といった評価をいただいています。
当社の内校正とは何か
当社の内校正は、単なる誤字脱字の確認にとどまりません。
赤字修正の確認に加え、以下のような領域を対象としています。
- 書籍構造(章節構成、前付・後付、目次、索引、奥付など)
- 文字・文章(日付、曜日、号数、表記ゆれ、てにをはなど)
- データと組版条件(文字コード、環境依存、リフロー、行組・段組など)
これらは本来、熟練した職人が担ってきた領域です。
一方で、書籍制作は工業製品としての側面も持ちます。
品質を安定させるためには、属人化に頼らない仕組みも必要になります。
そこで当社では、職人の知見を体系化し、「標準検査票」として社内に整備しています。
標準化された品質管理の仕組み
「標準検査票」は社内クラウド上で管理され、制作工程全体を通じて運用されています。
- 外校正のたびに確認
- 校了時の最終確認にも適用
といった形で、工程ごとに品質を積み上げていく仕組みです。
これにより、担当者に依存しない、安定した品質の提供を実現しています。
堅牢な“三段構え”の内校体制
当社の内校は、以下の三段構えで運用されています。
① 赤字修正の確認
修正内容は、作業者とは別の担当者が確認します。
読み合わせ時の思い込みや見落としを防ぐ、基本かつ重要な工程です。
② 標準検査票による確認
過去の制作経験をもとに構築された「標準検査票」を用い、見落としやすいが重要なポイントを網羅的にチェックします。
これは特別な指示がなくても、すべての制作工程に標準で組み込まれています。
③ 専用検査票による確認
定期刊行物や継続案件については、クライアントごとのハウスルールに基づいた「専用検査票」を使用します。
これは、お客様とのすり合わせや過去の運用を踏まえて構築されたもので、文章・図版・写真・レイアウトまで含めた総合的な品質を担保します。
なぜ、ここまでやるのか
ここまでの内校体制は、一見すると過剰に見えるかもしれません。
しかし当社では、書籍制作を通じて「見落としがそのまま品質リスクになる」現場を経験してきました。
だからこそ校正を、単なる確認作業ではなく、品質を支える工程そのものとして位置づけています。
校正は、文化である
校正は目に見えにくい工程ですが、最終的な品質を大きく左右します。
当社では、個人の経験や勘に頼るのではなく、
- 技能としての校正
- 仕組みとしての校正
この両方を組み合わせることで、品質を支えています。
校正は、誰の仕事か。
その問いに対して、私たちは「品質を担保するために必要な工程である」と考えています。
これからも、確実なものづくりのために、この内校体制を磨き続けていきます。
校正ってこんなに細かく見てるんだ…。
しかも仕組みで回してるのは安心だね。