印刷方式を選ぶポイント・特徴・比較表まとめ【印刷豆知識シリーズ】
チラシやポスターといった印刷物、ボールペンなどのノベルティグッズなど、世の中には”印刷”といってもさまざまな媒体がありますよね。
実は印刷する媒体(対象)や目的によって、適切な印刷方式が異なります。今回は各印刷方式の特徴と選ぶポイントをカンタンにご紹介します!
印刷方式を選ぶ重要性
特徴の説明に入る前に、「なぜ適切な印刷方式を選ぶ必要があるのか?」についてお話します。
ざっくりとですが、
- 印刷コストの効率化
- 品質の確保
- 納期の短縮
ができるため、目的や用途に応じた印刷方式を選ぶことが重要なんです。
例えば、大量にチラシを印刷する場合は「平版印刷(オフセット印刷)」が適している一方で、少部数の場合は「無版印刷(オンデマンド印刷)」が経済的なため、無駄な出費や時間コストを抑えることができます。
また、印刷方式によって仕上がりの品質が大きく異なるため、例えば写真集のように現物の色味に近くて高精細な印刷が求められる場合は、「デジタル印刷」などよりも「凹版印刷(グラビア印刷)」という方式が適しています。
印刷方式の種類
印刷方式の種類は、主に下記の5つです。
ちなみに、(1)~(4)は”版”と呼ばれるものをあらかじめ作る「有版印刷(ゆうはんいんさつ)」です。この印刷版を使用して、インクを紙等の対象物に転写しています。
(5)だけはこの”版”を作らずに印刷データを直接印刷するため、「無版印刷(むはんいんさつ)」と呼ばれています。
| 版の有無 | 印刷方式 | 種類 |
|---|---|---|
| 有版印刷 | (1)平版印刷 | オフセット印刷 |
| (2)凸版(とっぱん)印刷 | 活版印刷、フレキソ印刷 | |
| (3)凹版(おうはん)印刷 | グラビア印刷 | |
| (4)孔版印刷 | シルクスクリーン印刷 | |
| 無版印刷 | (5)デジタル印刷 | オンデマンド印刷 |
名称だけではなかなか分かりづらいかもしれませんね。
各印刷方式の仕組みの図とともに、それぞれの特徴も一緒に見ていきましょう。
印刷方式の特徴・選ぶポイント
(1)平版印刷(オフセット印刷)
平版印刷はその名の通り、凹凸のない平らな版を使う印刷方式です。油が水をはじく性質を利用して、”版”に印刷される部分と印刷されない部分の区別を付けることで、インキを用紙へ印刷しています。
5つの中では最もよく使われる印刷方式で、当社にも3台のオフセット印刷機があります。
(当社のオフセット印刷は高精細370線まで対応しております。)

<メリット>
- 高品質: 色の再現性が高く、細かい文字や線といった高精細な表現が可能。
- コスト効率が良い:大量印刷の場合、単価が安くなる。
<デメリット>
- 初期コストがかかる:版を作成するための費用がかかる。
- 少量印刷には不向き:少量ではコストが高くなる。
- 納期がかかる:デジタル印刷に比べて納期が長くなることがある。
<主な用途>
ある程度大量印刷したい場合、写真等の色味をきれいに仕上げたい場合
例:チラシ、ポスター、パンフレット、書籍、雑誌、新聞など
(2)凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)
こちらも名前の通り、版にボコっとした凸になっている部分があり、そこにインキを付着させ、直接用紙へ押し当てて印刷しています。平版印刷とは異なり、デコボコを利用して印刷される部分と印刷されない部分の区別を付けています。
印鑑やスタンプを思い浮かべると、分かりやすいかもしれませんね。

ちなみに、活版印刷とフレキソ印刷の違いは、版の素材やインキの種類等の違いです。特に活版印刷は、印刷面がデコボコするので手触りが独特で面白いですよ!
- 活版印刷 ・・・ 金属製の版、油性インキを使用
- フレキソ印刷 ・・・ ゴム・樹脂製の柔らかい版、水性インクやUVインクを使用
<メリット>
- 版の耐久性が高い:凸部がしっかりしているため、特に金属版は長期間使用・保管しても版が劣化しにくく安定した印刷が可能。
- 独特な質感を演出できる:凸版印刷によって得られる独特の感触や質感が魅力的で、高級感のある特別な印刷物向き。
<デメリット>
- 精細な表現は苦手:細かなデザインやグラデーションの再現には限界があるので、特に色の再現性はオフセット印刷に比べて劣ることがある。
- 大量印刷には不向き:大量印刷の場合コストが高くなることがある。
<主な用途>
独特な仕上がりの質感を生かした、アーティスティックでおしゃれな印刷物を作りたい場合
例:活版印刷 ・・・ 高級感のある名刺、招待状など ※文字メインの印刷物
フレキソ印刷 ・・・ 段ボール、パッケージ、布など
(3)凹版印刷(グラビア印刷)
こちらも先ほど紹介した凸版印刷と同じく、デコボコを利用して印刷される部分と印刷されない部分の区別を付けています。レーザー彫刻や腐食処理によって、版の表面に微細なへこみを入れ、彫りの深さや大きさで濃淡を表現します。
ただ、仕組みとしては凸版印刷とは逆で、版のへこんだ部分にインキを流し込んで用紙に押し当てることで、インキを印刷しています。

<メリット>
- 版の耐久性が高い:凸部がしっかりしているため、特に金属版は長期間使用・保管しても版が劣化しにくく安定した印刷が可能。
- 独特な質感を演出できる:凸版印刷によって得られる独特の感触や質感が魅力的で、高級感のある特別な印刷物向き。
<デメリット>
- 初期コストがかかる:平版印刷よりも版の作成が複雑で、高い費用がかかる。
- 少量印刷には不向き:大量印刷が前提のため、少量ではコストが高くなる。
<主な用途>
写真や絵画などを美しく再現したい場合、木目の模様などを細かく再現したい場合
例:写真集、雑誌、美術書、紙幣、壁紙、フィルムの包装紙、パウチの菓子袋など
(4)孔版印刷(シルクスクリーン印刷)
孔版印刷の”孔”は、穴のことを意味しています。凹凸ではなく穴を開けることによって、印刷される部分と印刷されない部分の区別を付けています。版にインキをのせ、ヘラ(スキージー)を押し当てることで、穴の開いた部分だけインキが紙に付着します。
5つの中でも仕組みが想像しやすいのではないでしょうか。Tシャツ作りなどのワークショップで、シルクスクリーン印刷を体験したことがある人もいるかもしれませんね。

<メリット>
- 多様な素材へ印刷可能:柔軟性のある版のため、布・プラスチック・金属など、さまざまな素材へ印刷できる。
- 色の鮮明さ:他の印刷方式に比べてインクが厚く塗布されるため、色が鮮やかで立体感が出せる。
<デメリット>
- 精細な表現は苦手:細かいデザインには不向きな場合がある。
- 少量印刷には不向き:少量ではコストが高くなる。
<主な用途>
球体などの曲面のある立体物へ印刷したい場合、紙以外の素材に印刷したい場合、表面がつるっとしたものへ印刷したい場合
例:Tシャツ、トートバッグ、看板、シャンプーボトル、おもちゃなど
(5)デジタル印刷(オンデマンド印刷)
5つの中で唯一、物理的な版を必要としない印刷方式で、デジタルデータを直接印刷しています。
デジタル印刷には、「トナー方式」と「インクジェット方式」の2種類あります。ご家庭に置かれているプリンターは、「インクジェット方式」といってインクを吹き付けるタイプがほとんどです。当社にあるオンデマンド印刷機は、「トナー式」といって静電気の性質を利用して粉状のトナーを紙にのせ、さらに熱を加えることで色を定着させています。


<メリット>
- 少量印刷のコスパが良い:少量印刷に適しており、1枚から印刷可能。
- スピーディで短納期向き:注文から納品までの時間が短く、最短当日に仕上がる。
- カスタマイズ性が高い:バリアブル印刷が可能で、個別の内容を印刷できる。
<デメリット>
- 高精細な色の表現は苦手:一部の高品質印刷には、オフセット印刷等に劣る場合がある。
- 大量印刷には不向き:大量印刷の場合コストが高くなることがある。
- 印刷サイズに限りがある:機械によっては、A3サイズ程度までしか印刷できない。
<主な用途>
100枚程度の小ロットの印刷物の場合、宛名印字など1人1人バラバラの印刷内容の場合
例:少部数のチラシ・ポスター・パンフレット、名刺、DMはがきなど
各印刷方式の比較表
上で説明した内容をまとめた一覧表です。
| (1)平版印刷 | (2)凸版印刷 | (3)凹版印刷 | (4)孔版印刷 | (5)デジタル印刷 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 種類 | オフセット印刷 | 活版印刷、フレキソ印刷 | グラビア印刷 | シルクスクリーン印刷 | オンデマンド印刷 |
| 版の作成 | あり | あり | あり | あり | なし |
| ロット | 大ロット向き | 小ロット向き | 大ロット向き | 大ロット向き | 小ロット向き (1枚~) |
| 納期 | 普通 | 短め | 長め | 長め | 短め |
| 高精細な印刷 | 〇 | △ | ◎ | ✕ | △ |
| 特色(金色、 DIC指定等) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 主な印刷物 | チラシ、ポスター、雑誌等全般 | おしゃれな名刺、段ボール | 写真集、美術書 フィルム素材 |
トートバッグ、おもちゃ | 名刺、宛名印字のあるDMはがき |
まとめ
いかがでしたか?印刷する仕組みを見ると、それぞれ全然違っていておもしろいですよね。
田中昭文堂印刷では、お客さまからご依頼を受けた際に、印刷するデータがどんなものなのか、色味を気にするべき印刷物なのか、それともコスト・納期優先なのか等といったことを意識して、最善の方法をご提案しています。
特に飲食店やコスメ、自動車のカタログといったものは実物に近い色味を出す必要があるため、本番と同じ用紙・印刷機で刷ってお客さまにご確認いただくことが多いです。
ノベルティグッズに関する印刷方法については、また別の記事でご紹介させていただきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
以上、印刷に関するちょっとした豆知識でした。
